電車
久しぶりに、電車に乗った。といっても一駅ほんの数分だけだなのだが。ドアの近くに立って外を見ていると、東京にいたころを思い出した。あの頃は毎日のように電車に乗り窓の外を眺めていた。電車から眺める東京の町並みは日常のなかでほとんど意味のないものだったように思う。頭の中は外の景色を眺めてはいなかった。電車は移動のため手段であり、移動の時間は無駄なものでしかなかった。
この世界の片隅に
いろいろな人が絶賛する声を聞き絶対に観に行こうと思って行った。
金沢では大きな館ではやっていなくて、ミニシアター系の「シネモンド」というところでしか上映がなかった。行った日は年末の押し迫った、金曜日の夜だったのだが、観客の入りは約半分強といったところだった。シネモンド的にはそれでもヒットしているほうなのかと思う。どうやらロングランになるらしい。
さて、映画のなかみについてだが、まず観終わった後の感想だが、こんなものだったかと。実は事前にある程度のあらすじとすずさんの怪我のことを知っていたという事もあるのかもしれないが、こんなものかという感想になったのかもしれない。同時に感じたのは、若い人たちに観て欲しい映画だと思った。「永遠のゼロ」なんかに涙を流すより、国内に住むいわゆる銃後の国民の生活をたんたんと描いたこの映画のほうがより戦争を実感できたのではないかと思う。戦争が人々の生活をどのように変えて行ったのか、そして戦前、戦中、戦後の昭和の日本を知らない世代にはあの時代があって今の日本があるのであるし、それらはつながっているということを感じて欲しいと思った。
そして、何故私のこころに響かなかったのかを改めて考えているのだけれど、どうもよくわからないのだ。自分として結論はでないのだけれど、なんとか見つけた結論が、絶賛している人たちより私は年齢が上であり、彼らより戦争なり昭和なりがより現実的なものだったせいかもしれないと思った。ある人は「すず」が名前も顔もよく知らない人のところに嫁に行くところを解説していたが、私はよく知っているし、いや自分の両親もそれに近かったのだ。だから当時はすずが特別でなくてすごくありきたりの事だったし、食糧難の話は親や祖母などから聴いて育った世代でもある食料を絶対に粗末にするなという事は幼いころから叩き込まれた世代でもあるのだ。また、私が幼いころには金沢の街角に戦傷者が座って物乞いをする姿をよくみた。まだ戦後だったのだ。
また、父親は戦場に行っていた人間で、軍人だったという事もあるかもしれない。決して戦争は遠いものではなかった。
最後に思うのは、父が言っていた「戦争だけは絶対にやってはいけない」という言葉を大切に守って行きたいということだ。できうれば私達より下の世代、つまり両親も戦争を体験していない世代つまり戦争を知らない2世、3世たちに、安易に戦争を知らない2世、3世の政治家に騙されてはいけないということを伝えたいということだ。
今年の年賀状に以前の会社の同僚から会社を退職した今、「子どもたちに戦争の悲惨さを伝える活動」をしているという言葉があった。戦争体験者が亡くなって行く今我々世代が伝えて行かなければいけないという使命感をひしひしと感じた。
「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」(ねたばれ注意)
まず、見終わった直後の感想を一言で言うと
「ありがとう。」
だった。
この物語はEP4とEP3の間を埋めるというより、EP4の前編というほうが正確かと思った。
物語の結末はとても悲しくもあったし、多くの犠牲をともなってしまった事にやりきれない思いもあった。しかし、もし小さな犠牲で終わるなら、物語としての完成度は下がってしまったかもしれない。それはEP4~EP6のお気楽ルーカスワールドそのものだからかもしれない。もしかしたらファンのなかにはルーカスワールドを支持する人もいるかもしれないが、私はこれでよかったのだと思った。とても悲しいけれど。
一番わくわくしたのは反乱軍=同盟軍と帝国軍との戦闘シーンだった。戦いの前に「フォースと共にあらんことを(May the Force be with you!)」を聴いたとき、来たかと思いながらワクワクする自分がいた。戦い自体は反乱軍の攻勢が続いて大成功となるかと思ったら反撃に合ってしまうのだが、そこまでは想像通り、しかし最後にデス・スターからの攻撃があると思っていなくて結果的に悲しみがともなうものとなってしまった。
語りたいことは山ほどあるが、今回のヒロインのジン・アーソが素晴らしかった。意思の強い顔つき。ぴったりの配役だったのではないだろうか。また、僧侶役のチアルート・イムウェ、この人はカンフーの人らしいが、フォースを信じる彼の存在もよかったし、また彼を助けるベイズ・マルバス、この人物の描写はあまりないのがもったいないくらい存在感のある人だった。また、ロボットのK-2SOも最後はかっこよかったね。もともとルーカスは日本へのオマージュがからちゃんばらやら柔道、空手の要素をいろんなところにはめ込んでいたのだが、今回もちょっとカンフーになってしまってはいたが許せる範囲で残されていたのではないだろうか。
最後に、「ローグ・ワン」もやはりエピソードⅣのオマージュを感じた。もしかしたら本編シリーズを上回っていたかもしれないと思ったのだが、EPⅣよりできはいいけれど、EPⅣの最初の衝撃はどうしても超えられないものであり、スターウォーズを作ったルーカスを上回ることはできないという事かと思った。
「フォースと共にあらんことを(May the Force be with you!)」
イノダコーヒーに行ってきた
念願がかなった。思えば?10年前に友人Kの狭い三畳一間の下宿部屋で彼がつまびくギターとともに聴いた歌が高田渡氏の「コーヒーブルース」だった。Kはこのうたを歌った後で、イノダってのは本当に京都にあるんだと言っていた。それ以来ずっといつか行ってみたいと思っていた。
「三条堺町のイノダってコーヒー屋へね。あの娘に会いに~」
このフレーズがずっと心の奥にひっかかっていた。彼女(?)に会うために。
そして、初めて行ったイノダは想像とは全く違っていた。おそらく当時はもっと小さな喫茶店だったろうにと思うのだが、現在はとても立派なお店になってしまっていた。
たまたま隣のテーブルに座っていたお客さんに聴いたのだが、昔はもっと雰囲気のあるお店だったとか。因みにその方は学生時代は京都に住んでいたとの事、私は東京だった。